一日一美

日々是健康、育児、読書など。

創作恋愛話1-4(最終話)

ピリリリリ、ピリリリリ、ピリリリリ。

電話の着信音が鳴った。

マリコからだ。

「はい」

「あっナミ?今電話いい?」

「いいよー。今駅から歩いて帰ってるとこ」

「今日の飲み会すっごく盛り上がったよー。ナミも来ればよかったのに」

マリコは小学校の頃からの友達だ。よく一緒に遊ぶので共通の友達も多く、話は尽きない。

「そういえば、夏にバーベキューで会ったマサトって覚えてる?」

マリコから突然話を振られ、ナミは動揺する。

「えっ、うん。覚えてるけど。あの人がどうかした?」

「いやーあのね、あの人まあまあ格好いいし感じいいけど、結構問題児らしくてさ。彼女いるのに周りの女に何人もちょっかいかけてるって話だよ。ナミも連絡先聞かれてたからさ、気に入られてるんじゃないかと思って」

「はー・・・どうだろうね」

ずんずんと冷たい水に入っていく気持ちになって、ナミはマリコからの電話を切った。

さみしいようなガッカリしたような気持ち。

ーーー家に行かなくて、よかった。

部屋の電気をつけて、ナミはベッドに寝ころんだ。

「はあ---・・・」

息がもれる。

マサトに会って、久しぶりにドキドキしたのは事実だ。

その状況を楽しんでいた自分もいた。

タカヒロに悪い、と思わなかったわけではない。

それでも、何か変化を起こしたかったのだ。

このままでは自分もタカヒロも、マンネリしたまま何も変わらない。

キッカケを探していた。結果、タカヒロとの関係がひび割れることになってもいいとさえ思っていた。

つまりは、そういうことだ。

ーーー自分は、もうタカヒロを好きじゃなくなっている。

距離を置くなんて都合のいい言い方。

キープしたいだけだ。

自分を好きでいてくれる人を。

そこまで思い至って、ナミは、がばっとベッドから跳ね起きた。

シャワー浴びよう。

すっきりして、それから、自分に、タカヒロに、向き合おう。

別れるのはさみしいし、三年つきあっただけの情もある。

でも相手を全力で好きじゃないのなら、これ以上同じ時を重ねたところで、もう進歩も成長もない。

マンネリしていたのはタカヒロのせいだけじゃない。

自分で自分にうんざりしていたんだ。

ーーーもっと自分を好きでいられる自分になろう。

ナミはそう決心して、吹っ切れた気持ちでバスルームへ向かった。

おわり。

↓あとがき。

数年前に住んでいた最寄り駅の近くの交差点で信号待ちをしていた時、ものすごくつまらなそうな顔をした若い女性が、セダンの助手席に乗っていたのを見かけました。

その時ぱっと頭の中に浮かんだストーリーです。

数年の時を経てやっと頭の中からアウトプットすることが出来、すっきりしました。

恋愛において得られる爆発的な喜び、幸福感、切なさみたいなものは本当に美しくて、花火みたいだなーと思います。

自分はもう恋愛の第一線から退きましたが、その美しさを妄想して文章にする作業はとても楽しかったです。

いやーしかし恋愛っていいよね。

いつも心に花火大会(の思い出)を。(#^.^#)